日本人が驚くスペイン料理10選|お米がデザートに?ウサギを食べる?在住者が解説
スペインに来た日本人が「え、これ食べるの?」と驚く料理を在住者が解説。アロス・コン・レチェ(お米のデザート)・ウサギ料理・豚足・モルシージャ・パーセベスなど、文化の違いがよくわかる10品。
スペインに来て最初の数ヶ月、食べ物の文化的ギャップに何度も驚きました。
「お米はデザートにも使う」「ウサギは普通に食べる」「豚の足が一品料理として出てくる」——日本の食文化を基準にすると、スペインの食には何度も「え、これ食べるの?」という瞬間があります。
逆に、スペイン人に日本の食文化を説明すると「生の魚を食べるの?」「納豆って何?」という反応が返ってくるので、お互い様なのですが。
この記事では、スペインに来た日本人がよく驚く料理・食材を10個、実際に食べてみた感想を交えて紹介します。
1. アロス・コン・レチェ(Arroz con Leche)——お米のデザート
驚きポイント: お米が甘いデザートになっている
日本人にとってお米は「ご飯」——塩気のある主食のイメージが強い食材です。ところがスペインには「アロス・コン・レチェ(牛乳で炊いたお米)」というデザートがあります。
作り方はシンプル。短粒米を牛乳・砂糖・レモンの皮・シナモンでゆっくり炊いてポリッジ状にしたもの。仕上げに砂糖をふりかけてバーナーで焼いたり、シナモンパウダーをかけたりして提供されます。
食べてみると——おいしい。やさしい甘さとお米のもちもち感が合わさって、日本のお粥と洋風プリンの中間のような不思議な心地よさがあります。スペインではおばあちゃんの家のデザート的存在で、家庭料理の定番。
スーパーでも冷蔵売り場に既製品が売られており、手軽に試せます。
2. コネホ(Conejo)——ウサギ料理
驚きポイント: ウサギを食べる(ペットではなく食材として)
日本ではウサギはペットのイメージが強く、食べる文化は一般的ではありません。ところがスペインでは、ウサギは鶏肉とほぼ同じ感覚で食べられる普通の食材です。
スーパーの肉売り場に当たり前のようにカットされたウサギ肉が並んでいます。最初はさすがに少し戸惑いましたが、料理してみると——淡白で鶏肉より少しだけ風味のある白身肉で、とてもおいしい。
代表的な食べ方:
- コネホ・アル・アヒーリョ:ニンニクとオリーブオイルで炒めたもの。シンプルで一番おいしいと思う
- コネホ・ア・ラ・ブルゴーニョ:白ワインと野菜の煮込み
- パエリア・バレンシアーナ:本場のパエリアにはウサギ肉が入る
ディエゴに聞いたら「え、ウサギは普通の肉だよ」という反応で、文化の差を改めて感じた一品です。
3. ピエス・デ・セルド(Pies de Cerdo)——豚足
驚きポイント: 豚の足がそのままの形で料理として出てくる
豚足自体は沖縄料理(テビチ)など日本にもありますが、本州ではあまり見かけない食材です。スペインでは、豚足を骨ごとじっくり煮込んだ料理がバルのメニューに普通に並びます。
**ピエス・デ・セルド・エスタファード(Pies de Cerdo Estofado)**はトマトと野菜の煮込み。長時間煮ることでゼラチン質がとろとろに溶け出し、濃厚なコラーゲンスープになります。骨の周りの肉とゼラチン質を一緒にすくって食べる料理で、美容効果を期待してスペイン人女性にも人気があるとか。
コラーゲンが好きな日本人には実は向いている料理かもしれません。初見の見た目のインパクトさえ乗り越えれば。
4. モルシージャ(Morcilla)——血のソーセージ
驚きポイント: 豚の血で作ったソーセージ
モルシージャは豚の血・脂肪・玉ねぎ・米・スパイスを腸詰めにして茹でたソーセージです。断面が黒に近い赤色で、日本人には見た目からして驚く食材。
ところが食べてみると、独特の風味はありますが決してクセが強すぎるわけではなく、スパイスが効いていてリッチな味わいがあります。グリルしてスライスしたものをパンに乗せて食べるのが一般的。
- モルシージャ・デ・ブルゴス:米入りで形がしっかりしたタイプ。カスティーリャ地方の名物
- モルシージャ・デ・アストゥリアス:柔らかいペースト状で、パンに塗って食べるタイプ
「血のソーセージ」と聞くと身構えますが、血の味というより香辛料とうま味の塊という印象です。
5. パーセベス(Percebes)——カメノテ
驚きポイント: 見た目がかなり独特……でも高級珍味
パーセベスはガリシア地方の海岸の岩場に生息する甲殻類で、日本語では「カメノテ」と呼ばれる貝に近い生き物です。見た目は恐竜の爪のような灰色の塊。初めて見ると「これが食べ物?」と驚くこと間違いなし。
食べ方はシンプル——塩ゆでするだけ。皮の部分を剥くと中から白くてプリプリした身が出てきます。味は濃厚な海の旨味で、磯の香りと甘みが凝縮されたような感覚。
スペインで最も高価な食材のひとつで、1kgあたり€50〜100以上することも。新鮮なものはガリシアでしか食べられない、現地の味です。
6. カジョス(Callos)——モツの煮込み
驚きポイント: 牛の胃袋をトマトとスパイスで煮込んだ料理
内臓料理はアジアにも多いですが、スペインのカジョス(Callos a la Madrileña)のボリューム感と味の濃さは独特です。牛の胃袋・血のソーセージ(モルシージャ)・チョリソーをトマトと一緒に長時間煮込んだマドリード名物のシチュー。
見た目はかなりヘビーですが、トマトとパプリカの酸味がモツ特有のにおいを和らげていて、食べてみると意外と食べやすい。バルの冬メニューの定番で、寒い日に食べるのが最高です。
ただし内臓が苦手な方には難しい料理。「スペインの内臓料理に挑戦してみたい」という人にはここから入るのがいいかもしれません。
7. オレハ・デ・セルド(Oreja de Cerdo)——豚の耳
驚きポイント: 耳がタパスとして出てくる
豚の耳を薄くスライスしてグリルしたもの。外はカリカリ、内側はゼラチン質のもっちりした食感。ニンニク・パプリカ・塩で味付けされたシンプルな一品。
バルのタパスとしてごく普通に提供されています。食感が面白く、お酒のつまみとして意外に合います。初めて食べたときは「耳」という事実に少し動揺しましたが、2回目からは普通に注文するようになりました。
8. チョコラテ・コン・チュロス(Chocolate con Churros)——朝のホットチョコレート
驚きポイント: 朝食がチョコレートドリンクにフライ生地のつけ合わせ
これは驚きというより「贅沢すぎる」という意味の驚き。スペインの朝食文化として定番のチュロス(揚げた細長い生地)を、ドロドロに濃いホットチョコレートに浸して食べます。
チョコラテはカカオ・砂糖・コーンスターチで作る、カカオの香りが強くとにかく濃厚なドリンク。飲み物というより「液体チョコレート」といった方が正確。
日本のホットチョコレートとは全く別物で、最初の一口でそのリッチさに驚くはずです。チュロスとセットで朝食に食べると、その日のカロリーを一気に消費した気分になりますが、それも含めて体験です。
9. ガスパチョ(Gazpacho)——冷たいトマトスープ
驚きポイント: スープが冷たい、しかもそのまま飲む
アンダルシア発祥の冷製トマトスープ。トマト・キュウリ・ピーマン・ニンニク・オリーブオイル・酢をミキサーにかけた飲み物に近いスープで、スペインの夏には冷蔵庫に常備されています。
「冷たい」「塩気のある」「スープ」の組み合わせは日本人には少し意外かもしれませんが、40℃近いアンダルシアの夏に飲むと、これ以上の飲み物はないと思えるくらい体に染みます。栄養も豊富でさっぱりしていて、夏の食欲がないときの理想の一品。
スーパーで既製品が500mlパックで売られており、日本のジュースパックのような感覚で買えます。
10. レチェ・フリータ(Leche Frita)——揚げミルク
驚きポイント: ミルクを揚げるという発想
レチェ・フリータ(Leche Frita)は直訳すると「揚げたミルク」。牛乳・砂糖・コーンスターチを固めてカスタード状にしたものを、衣をつけて揚げたデザートです。
外はサクサク、中は熱くてとろとろのカスタードクリーム——文字で説明すると不思議な食べ物ですが、食べてみると納得のおいしさ。シナモンと砂糖をまぶして出てくることが多く、揚げたてをほおばると幸福感があります。
スペインの祖母の味、という感じのデザートで、地元のバルのメニューに「Leche Frita」と書いてあったらぜひ挑戦してみてください。
Diegoのコメント
「日本人の友人をスペインに連れてきたときに毎回面白いのが、パエリアのウサギを見た瞬間の反応(笑)。バレンシアーナのパエリアには普通にウサギが入っているんだけど、骨が見えた瞬間に『これ何?』ってなる。説明すると複雑な顔をするけど、食べてみると全員が『おいしい』と言う。アロス・コン・レチェも同じで、お米のデザートというコンセプトが最初は変に聞こえるけど、一口食べると受け入れられる。スペインの食は見た目と名前で損をしているものが多いと思う」
まとめ——食わず嫌いにならずに試してほしい
この10品、共通しているのは「名前や見た目で損をしている料理」ばかりだということです。
ウサギも豚足も血のソーセージも、食べてみると「なぜ日本ではあまり食べないのだろう」と思うくらいおいしいものが多い。食文化の違いは、最初の一口を踏み出すかどうかの差だと、スペインに住んで強く感じます。
旅行中にバルのメニューで見慣れない料理を見つけたら、ぜひ試してみてください。